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高周波焼入れ

高周波焼入れの概要

高周波電源に接続された加熱コイルの中に、被加熱物(ワーク)を置き高周波電流を流して交番磁束を発生させると、ワークにうず電流損とヒステリシス損が生じて発熱します。このような直接加熱により、非接触ながら、ワークへ短時間に大きなエネルギーが投入され、ワークは急速加熱されます。

高周波焼入れの特徴

1、耐摩耗性のある硬い表面層と、靭性の高い元のままの心部をもつ部品が得られるという複合効果があります。

2、必要な部分だけの局部加熱なので、必要な熱量が小さく、熱効率が高く、それがゆえに冷却速度が速くなります。利点としては、焼入れ性のそれほど良くない、SC材等でも充分に焼きが入ります。

3、表面圧縮残留応力が大きく、優れた疲れ強さが得られます。

4、急加熱で短時間処理の為、組織が微細で、優れた延性、疲れ強さが得られます。

5、脱炭がほとんどみられず、表面酸化も少なく、一般的に熱処理による変形が小さい為、研磨などの後工程が省略できる場合があります。

納入事例

実用的高周波焼入れ仕様

鋼種 記号 C量(%) 焼入れ温度 焼入硬さ
水冷 油冷
HRC HRC
機械構造用炭素鋼S35C0.33〜0.38840〜89040〜5035〜45
S40C0.37〜0.43830〜88045〜5540〜50
S45C0.43〜0.48820〜87050〜6043〜53
S50C0.47〜0.53810〜86055〜6245〜55
S55C0.53〜0.58800〜85058〜6350〜60
ニッケルクロム鋼SNC2360.32〜0.40820〜88045〜5540〜50
SNC631 0.27〜0.35820〜88142〜5237〜47
SNC8360.32〜0.40820〜88250〜6045〜55
ニッケルクロムモリブデン鋼SNCM4390.36〜0.43820〜87050〜5847〜58
SNCM4470.44〜0.55820〜87155〜6250〜58
クロム鋼SCr4300.28〜0.33830〜88050〜6040〜47
SCr4350.33〜0.38830〜88050〜6045〜50
SCr4400.38〜0.43830〜88055〜6350〜58
SCr4450.43〜0.48830〜88055〜6350〜58
クロムモリブデン鋼SCM4300.28〜0.33830〜88050〜6040〜47
SCM4320.27〜0.37830〜88050〜6042〜53
SCM4350.33〜0.38830〜88052〜6246〜53
SCM4400.38〜0.43830〜88055〜6550〜58
炭素工具鋼SK31.00〜1.50760〜82058〜6358〜65
SK40.60〜1.00760〜82058〜6256〜61
SK50.60〜1.00760〜82058〜6256〜61
合金工具鋼SKS30.90〜1.00800〜85060〜6555〜62
SKS40.45〜0.55830〜88055〜6252〜60
高炭素クロム軸受鋼SUJ20.95〜1.00830〜88062〜6560〜62
SUJ30.95〜1.00830〜88062〜6560〜62
ねずみ鋳物品FC2503.0〜3.5850〜90040〜5240〜52
FC3002.8〜3.3850〜90045〜5542〜54
球状黒沿鋳物品FCD450 2.5〜850〜90032〜45
FCD600 2.5〜850〜90045〜55
ばね鋼SUP60.55〜0.65830〜86055〜6252〜60
SUP90.50〜0.60830〜86055〜62
ステンレス鋼SUS420J20.26〜0.40920〜98045〜5545〜55
SUS440C0.95〜1.201010〜107053〜5845〜55
ステンレス鋼鋳鋼品SCS20.16〜0.24950〜40〜5037〜48

高周波焼入れのQ&A

Q.高周波焼入れの特徴はなんですか?

A.高周波焼入れは処理品のまわりにコイルを置き、コイルに高周波電流を通すと、主として交番磁界によって誘起される渦電流によって、処理品の表面層が加熱されます。
(表皮効果)。他の熱処理と違って、製品が自己発熱を起こします。
また、高周波焼入れの利点としては、一般的に
1、直接加熱のため、熱効率が良く、処理時間を短縮出来る。
2、局所加熱ができ、周波数による深さの管理が比較的容易である。
3、急加熱、急冷であるため、焼入れ性の良くない、SC材等にも硬さが十分得られまた酸化、脱炭、変形が少ない。
4、表面のみの焼入れにより、大きな圧縮残留応力が得られ、疲れ強さを向上させることができる。
5、ガス等を使わない環境にやさしい熱処理である。等があげられます。

Q.複雑な形状でも高周波焼入れは可能ですか?

A.高周波焼入れの加熱はコイルによって行われますので、被加工品の寸法、形状に適したコイルの作成が重要となります。
コイルの種類には外面用、内面用、平面用などがありますが、コイルの選定は経験的な要素が多々あります。
コイル作成は非常に高価ですが、弊社では内製化により、ローコストを実現しております。
一度お問合せ下さい。


Q.コイルをつくるのにかなりの日数がかかりますか?

A.弊社では内製化により毎日のようにコイルを製作しております。
内製化と豊富な経験により、他社様より早く製作できると自負しております。
簡単なものであれば1~2日で対応できます。また、図面あるいは現物の写真などをご用意の上お問い合わせいただけましたら、具体的なご提案や納期感もお伝えできます。
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